1. >
  2. >
  3. 銀行の融資合戦 融資の肩代わりとは?

銀行の融資合戦 融資の肩代わりとは?

<銀行にとって大切な融資残高>

銀行の融資とは、企業からすれば負債勘定ですが、銀行にとってみればそれは大切な資産に当たります。企業がその負債勘定から毎月の元金と利息を支払う様に、銀行はその資産勘定から元金と利息を受け取ります。銀行は一旦融資すると継続的に融資先から、利息の収入が発生して利益を得る事が出来るからです。銀行業務が不労所得等と呼ばれる所以です。

しかし継続的に利息収入が入って来るというのは、融資残高があるという前提の話で、銀行が融資を怠ると、融資残高は約定返済と共に減って行く一方となり、当然利息収入も減少し利益も減少して行く事になります。ですので銀行は、この融資=資産を増やそうと躍起になるのです。先程も言った様に通常融資には毎月の元金返済(=約定返済)が付いてきますので、銀行が融資量を維持しようするには、毎月の元金の約定返済分以上の貸出しを毎月追加で融資しないと、融資残高は維持できず減少して行く事になるのです。

これに加えて余裕のある企業の繰り上げ返済、又は不動産売却資金による早期完済等があるので融資量は思った以上に早く減って行くきます。余剰資金や不動産の売却資金での早期返済はその企業の都合であって当然の合理的な行動です。しかし時として他のライバル銀行からの融資をもって自行の融資が返済されるという、いわゆる「融資の肩代わり」で融資が減少する事があるのです。

<何故融資肩代わりなのか?>

違う銀行同士の融資金の肩代わりは、あまり表には出てきませんが日常茶飯事に行われています。銀行融資の営業の難しさは、物を買ってもらう様に誰でも彼でもという訳には行かない事です。いくら本人にその気があって、その銀行の融資という商品の購入を希望しても、肝心のその銀行が売ってくれなければ話にならないからです。

融資営業の担当者は融資先を探しますが、審査に受かる融資先を探さなければならないのです。ですので極端な話、Aという会社に3年前に運転資金5,000万円融資した残高が、約定返済により今現在2,000万円に減少しているので「当初借りた5,000万円になる迄追加で3,000万円分借りませんか?」と持ちかける訳です。

返済実績があるので審査には通り易いし相手の企業も「返済金額が前回と変わらないなら・・・」と乗り気になり易い事が多いからです。しかしそういうやり方を続けてたとしても融資残高は、よくて現状維持で結局はじり貧状態になるのです。その為に融資先の新規開拓が必要になるのです。そして融資先の手っ取り早い新規開拓というのが、優良企業が取引している銀行融資の肩代わりなのです。

<まさに融資合戦>

或る日自分の銀行の取引先企業の社長、もしくは財務担当者が、突然なんの連絡も無しに銀行の窓口にやって来て、そして差し出した通帳の残高には、通常ではあり得ない何億もの残高が振り込まれていた。こういう事が、金額の多寡に拘わらず、銀行の融資営業担当者であれば一度位は体験した事があるのではないでしょうか。経験年数が長い担当者であれば銀行の窓口に来た時点でその雰囲気で分ると言います。融資の肩代わりにやって来たのです。その振込は自行の融資を返済する為に、新しく借入して振込された融資金なのです。

普通融資の肩代わりを行う時は相手の銀行には絶対に内密に、秘密裏に行われます。何故なら途中でその相手銀行が、自行の融資を肩代わりしようとしていると知ったら、必ず計画を中止させるに決まっているからです。それ程銀行は融資を肩替わりされる事に対して神経質になるのです。勿論優良企業の融資の話です。毎回延滞を繰り返すような企業には肩代わりはあり得ない話です。

融資の一部だけ肩替わり返済される事もありますが、一切合切の融資を根こそぎ持って行かれる事もあります。その原因は取引銀行の金利が高かったからだとか、担当者が全く来なくなり取引銀行と疎遠になったからだとか様々で、結局そこに取引の無い銀行の融資担当者が現れ、低金利の融資提案をするというのが肩替わりの最も典型的なパターンです。

担当者にしてみたら、早めに言って欲しかった話なのですが、もうこうなってしまったらどうしようも無く、大事な資産を失った事を後から悔やむばかりです。

銀行の融資営業の担当者は毎日の様に、自行の取引のない優良企業に出向いては取引銀行の肩代わりをしましょうと、自行の既存の取引先には絶対に適用しない様な低金利を持ちかけています。反対に取引先の銀行は、優良企業の融資を他行に取られない様に細心の注意を払います。それでも融資の肩代わりは日常的に行われています。既存の取引先企業に資金需要が乏しく融資が発生しにくい状況が続く限り、この銀行同士の肩代わりは延々と続く事なのかもしれません。