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銀行に預金するという事 貸借対照表で銀行の体力を読む

貸借対照表を読み込もう

地方銀行A○○年決算書抜粋(単位10億円)
現金 81 預金 6,803
預け金 345 コールマネー 28
コールローン 20 借入金 150
有価証券 2,139 社債 20
内国債 1,134 負債合計 7,470
内地方債 145 資本金 54
内社債 155    
内株式 131    
土地建物 70    
貸出金 5,102 純資産 409
総資産 7,879 総資産 7,879

この表は貸借対照表と言われ、企業の資産や負債がどれくらいあるのか示したもの、どの企業も必ず作成しているものです。貸借対照表には様々な情報が織り込まれています。今回図示したのは銀行の決算書です。まずは決算書を見る為細かい知識等無視して要点のみお話します。

表は右側と左側に分れています。左側の縦の金額のトータルが7,879(7兆8,790億円)ですが、これは企業が保有している全ての資産を示したものです。右側が負債合計と純資産を示しています。そして貸借対照表の基本として、総資産=負債合計+純資産表されます。この表で言えば、負債合計+純資産(7,470+409)=7,879となります。これは総資産(=7,879)を売却して負債(=7,470)を返済すれば最終的に純資産(=409)がのこるという事を意味しています。

まず右側、負債合計から見てみます。最初は「預金」の勘定です。これは預金者から集めた全ての預金が記載されています。この銀行の預金量は6.8兆円ですので地方銀行としては大手です。銀行が預金者から預かった預金は決算書では負債として扱われます。その下の「借入金」150と「社債」20は、この銀行自体が日銀や他の金融機関から借入したもので、1,700億円の借入金がある事になります。「純資産」409とは当初の出資金や利益の蓄積を示したものです。

次に左側、総資産を見てみます。「現金」81とはこの銀行が保有する現金そのものです。各支店で保管している現金はこの勘定に入ります。「預け金」とは銀行が日銀等に預けているお金です。いわゆる日銀当座預金というものに、預けているものもここに含まれます

「有価証券」2,139とは銀行が株式投資等に有価証券投資をしているものです。「貸出金」5,102とは銀行本来の融資金です。「土地建物」70とは銀行自体の所有している不動産の勘定ですこの銀行は700億円の不動産を保有している事になります。

間接金融

去の利益の蓄積分の資金0.5兆円等の資金で、融資に5.1兆円、有価証券投資に2.1兆円、現金や預け金に0.4兆円の運用をしている事になります。もっと極端に言えばこの銀行が預かった預金は6.8兆円ありますが、その多くは姿かたちを変えて、企業融資や住宅ローン等の個人融資の5.1兆円、有価証券投資に2.1兆円になっているという事になるのです。

更にこうも言い換える事も出来ます。例えばあなたがこのA銀行に100万円の預金をしたとすると、その預金は銀行が融資する資金の原資となっている事、つまりあなたが銀行という箱モノを通して、間接的に企業や個人に融資しているという事なのです。これを間接金融と言います。

取り付け騒ぎが起こったら

この銀行には6.8兆円の「預金」が預けられていますが、支払準備金としてあるのは各支店に置いてある「現金」810億円と、日銀等に預けている「預け金」3,450億円「コールローン」200億円位です。「有価証券投資」2兆1,390億円は、いつ現金化出来るのか保証されません。つまりあり得る事ではありませんが、万が一この銀行に取り付け騒ぎが起こって何千億単位の預金引き出しがあれば、この銀行は(=多分多くの銀行でも)即座に現金を支払う事が出来ないのです。

預金が払いだされるから現金が必要だといって、融資金の回収を急いで換金する事は不可能です。銀行に取りつけが起こって現金の支払能力が不能となった時、その銀行を救うのは日銀しかいません。日銀は取付の起こった銀行に融資を行います。これが最後の貸し手と呼ばれる日銀の「日銀特融」と言われるものです。

銀行が破綻する事は最近では余り聞かなくなりましたが、その根本的な原因の殆どが「融資金」の不良債権化による資産の毀損です。先掲の貸借対照表で言えば「融資金」5.1兆円のうち10%の融資が不良債権化して回収不能になれば、実質回収可能な融資金は4.6兆円となりこの銀行は総資産を全て売却しても、借入しか残らない「債務超過」に陥る事になるのです。

この様に貸借対照表からは多くの事実を読み取る事が出来るのです。