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銀行の融資審査と本部稟議とは?カードローンの仕組みを内部体制から知る

<銀行と稟議>

銀行の稟議(りんぎ)制度というものを説明します。稟議書といえば役所等でよく使われている、言わば伺書(うかがいしょ)の様なものです。勿論普通の会社でも普通に使っています。例えば物品購入であったりすれば、「購入品=複合機」「購入金額=50万円」「目的=業務効率化の為」「何時まで=○月○日迄」「部署=営業部」等といった様な事を記載して作ります。その書類を担当者が作成して、最終的に決裁権限者の承諾を得て初めて購入する、という様な流れになります。通常はお金の絡む事が多い様です。

銀行の稟議書の場合も基本的に考え方は同じです。担当者が作成して最終権限者の承諾で決済になります。只銀行の稟議書の場合は融資の審査絡みで多少生々しいのです。

<支店稟議>

普通銀行の融資審査は稟議書として書類が作成されて行きます。その流れを少し説明すると、まず企業A社が融資の依頼をしに取引銀行Bに行きます。依頼を受けた担当行員Cは早速その企業から貰った資料をもとに支店で稟議書を作成します。この担当行員が作成した稟議書をベースにして支店で融資審査を開きます。「希望融資額=5,000万円」「金利=2.5%」「返済期間=3年間」「担保=既存抵当権」といったふうに起案するのです。

この融資審査の事を稟議とも呼びます。ここでこのA社の融資案件を取り上げるかどうかの判断が行われます。融資判断は普通複数人の合議制で行われ、誰か一人の判断では行いません。そして最終的にその融資の可否判断を行うのはその支店の支店長です。

謝絶となれば即刻行員Bを通してA社に告げねばなりません。A社にも資金調達の都合がありますので、駄目な返事程早くしなければならないからです。この返事を先送りしたりすると、大きなトラブルになったりするケースがよくあります。取り上げとなると直ぐ契約して融資実行するケースと、それとは別に更に上部に稟議をしなければならないケースがあります。支店の決裁権限を超えて審査するケースです。

企業に融資するしないの権限は支店の最終判断者の支店長が持っています。通常であればその権限は無担保融資○○円迄、有担保融資○○円迄等と制限があって明確に金額やその条件が謳われています。これの融資権限を与えられた者以外の行員は、いかなる事があっても融資判断する事は出来ないのです。例えば担保付融資で1億円の貸出し権限を持つ支店長が、担保付きで9,000万円の融資審査を支店独自で承認して、支店で勝手に契約して融資の実行迄する事が出来ますが、1億5,000万円の融資を支店で承認する事は出来ないのです。

<本部稟議>

普通は本部や本店に、支店から権限を超えた為に送られてきた稟議書=本部稟議(本店稟議)を専門に扱う部署があります。そこは稟議を専門にする部署なので、朝から晩まで支店から送られてきた稟議書類と日々格闘しているのです。本部稟議の中でも担当者に金額についての決裁権限があります。ですので本部稟議の中でも、決裁権限を超えた案件は本部稟議の更に上の決裁権限者へ送られ決済を待ちます。

まず本部に上げられた稟議書を担当の審査役が確認します。承諾でその担当審査役の権限内であれば案件承認で支店に連絡されて融資実行となり、否決であれば終了。担当審査役の権限外であれば更に上の、例えば課長審査役等の審査待ちとなります。その様にしてどんどん上の決裁権限者へと上がって行くのです。最終的には審査部長等の役員決裁になり、最高は頭取決済で最終になります。

本部稟議案件の稟議書は稟議を起案した担当行員の印鑑から始まり、支店の担当行員の上司、支店貸付役職者、支店次長、副支店長、支店長、本店審査部担当審査役、本店審査課長、本店審査部長等承諾の印鑑がずらっと並ぶので、ある意味歴史を持った書類となります。この様にして稟議は開催され稟議書は各部署を転々として、やっと企業の所へ正式な返事が届くような仕組みになっているのです。

昔は本部稟議となると、かなりの時間を要していましたが、今では電子メールで稟議書が作成できるようになり、短時間で稟議の結果が出る事になっている様です。

担当者で変わる稟議結果

事業性融資

銀行の借入で、住宅ローンや教育ローンカードローン等の個人ローンと呼ばれるものは普通は保証会社が絡んで、審査についてはその保証会社が行います。そして金利や最高借入限度額、返済期間の上限等は定型化され最初に決まっている事が普通です。

例えばカーローンの今現在の金利は2.5%、返済期間は6ヶ月から7年以内、借入金額は10万円から500万円迄等、審査に受かるかどうかは別としてそういった借入条件は、その銀行の誰が担当になって受付けても変わらないのが普通です。A支店のBさんに頼んだら金利を安くしてくれたとか、金額を上乗せして貸してくれたとかいう事は普通あり得ません。

こういう個人ローン以外の融資、いわゆる事業性の融資ではこういう条件は一切ありません。勿論制度融資と言われるような予め条件が決められている融資もありますが、一般の事業性融資は企業の借入申請に併せて融資するのが普通です。 ではその貸出し条件はどのように決まるのでしょうか。普通は融資申請があれば1件毎に個別の審査が行われます。この審査の事を銀行では稟議(=りんぎ)と呼びます。

融資担当者の役割

全くの新規融資は別として、普通銀行では融資先の企業毎に担当者がついています。ですのでお金が必要になった時企業は、その内容を担当者に一番最初に相談するのが普通です。 担当者は、希望の金額はいくら、いつ必要なのか、担保はあるのか等を聞きそれを自分の支店の稟議に掛けるのです。

一口に企業からの融資申請といっても内容は運転資金や設備資金、在庫資金や決算資金様々なものがあります。融資担当者はその企業の担当者或いは社長から直接話を聞いて、どういう性格の資金需要なのかを見定めなくてはなりません。 稟議に対する考え方は銀行によって大きく違うでしょうし、担当者によっても大きく変わりますが、実は経験上稟議はやはり担当者によって、その結果に大きな差がつくものなのです。

まずそもそも貸せるかどうかの判断です。貸す貸さないの判断は担当者には出来ませんし、どんな内容であっても支店に持ちかえり報告しなければならないのですが、絶対貸せないと分っている先の話をいくら聞いても意味がありません。銀行は融資先の企業には融資に関しての基本方針を事前に決めてる事が普通です。詳細は省きますが、大きく分けて積極融資先、現状維持先、消極的等に分けているのです。

消極的とされている企業に対してはどうしても融資は難しい事が多いのです。例えば赤字続きで借入が嵩んできて担保も目一杯の状況で前回借入した時、「今後財務状況が好転しない限り融資は見合わせ」の様な趣旨の条件が付いている企業が、又再度融資申請して来たようなケースが考えられます。

融資申請があった時、担当者は決算書や、銀行取引の一覧表、受注工事一覧、販売実績等の必要資料を企業から貰って稟議書を作成します。普通稟議書は担当者が作成して、貸付課長、営業課長等の複数人の合議制によって、最終的には支店長が貸す貸さないの判断を行います。重要なのはやはり最終的には人が判断するという事です。 先の様な稟議に必要な資料があったりなかったりだとか、綺麗だったり汚なかったするのは人の感情を微妙に変化させます。そしてやはり何より重要なのは担当者です。企業の気持ちや思いを上手く稟議書に伝えきれるかどうかは担当者の力量に係って来るのです。誰が担当になってもどういう稟議書を書いても貸出し可となる、先の積極先の様な優良企業の場合は全く問題ないのですが、貸せるか貸せないか微妙な判断を迫られる時担当者の責任は大きいのです。

稟議に対する考え方

例えばA社から運転資金5,000万円、3年分割返済の融資申請があったとします。担保は既存の根抵当権を利用すれば保全は効きます。問題は返済能力で、過去6ヶ月の試算表は赤字です。しかし何とか今迄返済は遅れる事無くやってきています。担当者Bは財務諸表を見てそのまま「返済は厳しいが何とか返済可能」という稟議書を作りました。担当者Cは今のままでは返済は厳しいと判断して、A社の社長と財務担当者と3人で今後の返済について話し合い、不要な保険の支払いを止め、社長の給与を下げる事とした、という内容で稟議書を作成しました。

結果はどうなるか分りませんが、融資姿勢や稟議に対する考え方は担当者Bと担当者Cとでは全然違います。経験の差も大きいかもしれませんが融資担当者で一番大切なのは、担当する企業の事を第一に考えた稟議を起案する事です。企業の言われた事をそのまま伝え財務資料もそのまま提出するのではなく、どうやったら稟議が通るか考えた、企業の側に立った姿勢が大切なのです。