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事業性融資の緊急融資の話、支店長を出せとトラブルもしかり

<事業性融資と個人ローン>

銀行は融資業務を主としています。住宅ローン等の個人ローンも勿論ありますが主業務は一般企業に融資する事にあります。ある大手地銀のディスクロ誌を見てみますと、平成26年9月末の総貸出金4兆9,426億円に対して、住宅ローン等個人ローンの占める割合は1兆2,478億円でそれ以外の事業性貸出しは3兆6,948億円と、以前と比べかな増加しましたが事業性貸出しの1/3程度なのです。

個人ローンと事業性融資を比べた場合、個人ローンは申し込みから、金額、金利、契約、返済期間、実行迄パッケージとして一般化されている事が一番の特徴です。審査内容は時期やその態勢、方針等によってぶれる事が多いのですが、その他はどの銀行員が担当しても、どういう人が融資の申し込みをしても金利や担保の条件は、決まっているのです。つまり大口預金先が住宅ローンの申し込みをしたからと言って、金利を最優遇金利から更にマイナスする様な事は出来ず、定型化されている商品としての金利の提供しか出来ないのです。

これに対して事業性資金は逆に何も決まっていません。金額の上限も、返済期間も、金利も担保も、事前に「こうでなければならない」というような事は一切決まっていません。つまり、資金需要に対して柔軟に対応するオーダーメイドの貸出しなのです。求められる事は、安全に回収出来るように融資し、更に銀行の利益を最大にする事なのです。

何も決まっていないという事は、もしくはある意味力関係に大きく依存するという事も意味します。先日経営危機に陥った一部上場企業が、銀行に何百億円もの緊急融資を申し込んだとの記事がありました。銀行は結局融資に応じたようですが、既存の数百億円の貸出しに担保を付ける事が条件だったという事です。つまり数百億円もの融資が、無担保で行われていた事になります。

<地方金融機関の融資業務>

地方の一金融機関に勤務する銀行員にとって、上場企業の何百億もの融資を担当するというのは高嶺の花で、殆どが日々何千万円、何百万円の融資と向き合っているのです。案件が殆どない事もたまにはありますが、普通は融資案件に追いまくられているのが現状です。 勿論金融機関によって違うでしょうが基本は融資案件を受付けたら、希望金額や、借入希望時期、条件等を支店に報告する筈です。そして必要書類を先方から貰って方向性を打ち出します。支店内で、その案件ごとに基本取り上げなのか、謝絶なのか、条件次第で融資に応じるのかを決める綿密な話し合いが持たれます。

大きな融資案件等の時は融資証明等出して書類で融資金額や金利や返済期間等、書類によるやり取りがあったりますが、普通は口頭で済ます事が殆どです。否決になった時はなかなか話しにくいものですが否決の案件の返事程早く知らせないと、先方が他から資金調達する時間が無くなってしまうのです。否決案件を先方に伝える時は勿論ですが、取り上げ案件の時にも揉める事はしばしばあります。

<支店長を出せ!>

先方企業と最後の詰め甘かった為トラブルになるケースです。ある時その支店の長年の取引先の社長が、銀行の窓口に凄い剣幕で「支店長をだせ!」と言って怒鳴り込んできた事がありました。普段は温厚な社長のその突然の豹変ぶりに、支店の女の子たちは凍りつきました。その社長はその後支店の応接室で、支店長と延々と数時間に亘って訴え続けたのでした。

後で聞いた話なのですが、借入の金額や期間、担保については、社長の借入希望の条件通りだったのですが、金利が希望の金利より0.5%程高かったのです。しかもそれが判明したのが融資の実行が済んで、先方企業に返済予定表が届いてからの事だったのです。

詳細は忘れましたが、この案件の取り上げ条件が前回貸出しより0.5%の引き上げだったのに、担当者はなんと先方にその事実を伝える事が出来れないまま、融資実行してしまったのです。金利の高低は企業の格付けを反映し、突然の金利引き上げは企業のプライドを傷つけてしまいます。たかが0.5%の話ではなかったのです。だからこそ担当者は企業に話しきれなかったのですが、双方納得行っての借入契約ですので、そんな事は当然ながらあってはならない事でした。

その後この企業は私がその支店にいた時は何もなかったのですが、私が違う支店に転勤して数カ月後違う銀行に、一切の取引を移したとの話を風の便りに聞きました。