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誇大広告の禁止と取り立て行為の規制

国又は地方公共団体や銀行等以外のものが、貸金を業として行う場合その全ての者に対して適用される法律に「貸金業法」というものが存在します。主な内容はそれら貸金業者の業務規制と資金需要者(借主)の保護です。この法律に違反すると貸金業を営む為の登録の取り消しや、刑法などの罰則が適用されます。その中に貸金業者が行う広告に関する規制の項目がありますので、今回はそれを取り上げてみたいと思います。

どうしても現金が急いで必要になった時、人は判断能力が低下する事があります。何とかしてお金を借りようとして、貸してくれる所を必死になって探そうとするのです。そこまでいかなくても、余り法律等の知識に疎い様な方に対して平然と、当然の様にメール等を送りつけて借入を起こさせようとする業者が後を絶ちません。無免許の貸金業者は申し込み等で得る事が出来た個人情報を、名簿屋等を通じて同業者間で売買を行いますのでターゲットになった人へ、ダイレクトメールが沢山の業者から大量に送りつけられて来るような事が多々あります。

貸金業法の第二章に「誇大広告の禁止」というものがあります。そのまま引用すると内容は以下のようなものです。

「貸金業者は、その貸金業の業務に関して広告又は勧誘をする時は、貸付の条件について、著しく事実に相違する表示若しくは説明をし、又は実際のものより著しく有利であると誤認させるような表示若しくは説明してはならない」

と、あります。具体的には

  • 1. 誘引する事を目的とした特定の商品をその貸金業者の中心的な商品であると誤認させ様な表示又は説明
  • 2. 他の貸金業者の利用者又は返済能力がない者を対象として勧誘する旨の表示又は説明
  • 3. 借入が容易である事を過度に強調する事、借り入れ意欲をそそる様な表示又は説明
  • 4. 公的な年金等の受給者の借り入れ意欲をそそる様な表示又は説明
  • 5. 貸し付けの利率以外の利率を貸付利率と誤解させるような表示又は説明
  • 等があります。

    1.はいわゆる「釣り」と言われる様な広告の表示の事であると思われます。例えば低金利の商品がある事はあるが、実態はそういう商品はほんの僅かな人しか利用できない様な商品の、金利の部分を強調した表示は違反だという事です。2.は例えば「ブラック歓迎」「多重債務者OK」等の表示はNGという事です。3.は例えば「審査無し」「誰でも借入可」等の表現も駄目だという事です。

    更に貸金業法はその「誇大広告の禁止」の項目の前の項目で、貸金業者が広告をする時に以下の様な表示をしなければならないとしています。

    • 1. 貸金業者の商号、名称、氏名及び登録番号
    • 2. 貸し付けの利率

    上記に添付した広告は日本貸金業協会のHPから引用したものです。

    http://www.j-fsa.or.jp/personal/damage/example.php

    最初の広告は「面倒な手続きは一切無しで即融資」とあり、NG表記です。又貸金業の登録番号の表記もありません。次の広告は「本状が届いた方に限り380万円まで融資可」とあます。さも事前に審査があって‘あなたが選ばれました’という様な表記ですが勿論NGです。三井住友フィナンシャルグループのSMBCコンシューマーファイナンスのプロミスの表示がありますが、全くの無関係の会社です。

    この様な誇大広告を行う金融業者は無登録の業者だと思ってほぼ間違いありません。「債務整理された方歓迎」等の広告を見かける事が時折あります。勿論、貸金業法違反の広告ですが、万が一にもその様な広告に乗ってしまって申し込みしてしまうと、その業者の思うつぼにはまった事になります。その業者は元々貸す気がないか、もしあっても違法な高金利を請求される様な事が想像されます。元々貸す気がない業者は、他の「審査が緩い様な」同業他社に行くように言葉巧みに借入者を誘導して、紹介料を請求するような事例が報告されています。いずれの行為も法律違反なので絶対に申し込んではいけないものです。

    取り立て行為の規制

    貸金業者が行う取り立ては過酷を極める様なイメージがありますが、それは全て過去のものです。銀行が行う個人融資にはその殆どが保証会社が存在していて、銀行にとっての個人向け融資はリスクフリー、つまり無リスクとなっていてそのリスクは保証会社が負っています。借主が返済不能となった場合は、保証会社からその貸金残高を回収出来るからです。それに対して消費者金融が行う、個人を対象にした小口資金の融資はその多くが担保や保証人、又は保証会社を取っていない為、返済が遅れた借主に対する回収の手段は殆どは督促に頼るしかありません。回収を図る手段としての消費者金融の督促は企業の存続をかけた死活問題なのです。

    しかし、その督促は徐々にエスカレートしていきました。ある大手の、知名度の高い消費者金融がその電話の中で「返済出来なければ腎臓や血を売ってでもして金策をしろ」という様な督促をしている事実が報道され、社会に衝撃を与えました。返済義務のない親族などに返済を迫ったり、自宅や勤務先に押し掛けてきて恫喝したりして返済を迫ったりした事も実際にあった事です。実際に返済できない債務者は追い詰められて最悪、生命保険金で返済したり、犯罪を犯してしまったりする事が多くなって来たのです。

    しかしそれは全て過去のものです。今現在は借主は貸金業法によって保護されているのです。確かに借主は契約により借入した金員を返済する義務がありますが、自分の生活が取立てにより脅かされたり、日常の生活や仕事に支障が出る迄の義務は負っていないという事です。

    貸金業法は第二十一条で取り立て行為の規制として冒頭で

    「貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取り立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たって、人を威圧し、又は言動で他の人の私生活若しくは業務の編音を害するような言動をしてはならない。」

    と規定しています。 その具体的な内容は貸金業法そのものを見るより、金融庁のガイドラインに詳しく記していますのでそちらの方を引用します。

    1.貸金業者やその債権の取り立てについて委任を受けたものは次の様な言動を行ってはならない。

    • ●暴力的な態度を取る事
    • ●大声を上げたり乱暴な言葉を使ったりする事
    • ●大人数で押し掛ける事

    2.債務者の私生活又は業務の平穏を害する次のような言動を行ってはならない

    • ●正当な理由なく午後9時から午前8時迄、その他不適当な時間帯に電話で連絡し若しくは電報送達又は訪問する事
    • ●反復継続して電話で連絡し若しくは電報送達又は訪問する事
    • ●張り紙、落書きその他いかなる手段であるかを問わず債務者の借入に関する事実その他プライバシーに関する事実等をあからさまにする事
    • ●勤務先を訪問して債務者を困惑させたり不利益を被らせたりする事

    3.その他債務者に対し次の行為をしてはならない

    • ●他の貸金業者のから借入又はクレジットカードの使用等により弁済を要求をする事
    • ●法律上支払義務の無いものに対して支払い請求をしたり、必要以上に取り立てへの協力を要請する事
    • ●その他正当と認められない方法により請求をしたり取立てをしたりする事

    返済の督促に必要以上に怯えて何とか遅れずに返済しようとして、他社からの借入を繰り返して返済に充当する人がよくいます。貸金業法が以上のように改正された今、返済に対する督促は以前と比べて寧ろ穏やかになったとの報告も聞いた事があります。そういった意味で督促にはきちんと対応する事が大切です。