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知識0からの担保の話し(2)担保評価

不動産の時価評価額

固定資産税の評価額を聞いた時「私の家の評価がこんなに高い筈はない」。自宅の担保評価額を聞いた時「私の家の評価額がこんなに低い筈がない」。今の二つは同じ人が同じ自分の家を指して言った言葉という笑い話です。自分の家が今いくら位するのか誰しもが気になる所です。税金の評価額は低く、銀行の評価額は高くというのは正直な話しではないでしょうか。

今住んでいる自分の家が一体いくらで売れるのか?マンションであれば比較的簡単に分ります。同じマンション内であれば皆立地条件が同じなので、売買があった部屋の情報が分れば自分の部屋の価格は大体内分ります。では一戸建てではどうでしょうか?公示価格や基準地価額の基準点が近くにあれば大体の見当はつく筈です。しかし実際の所は良く分らないのが実情です。土地の評価額はその環境によって大きく変わります。同じ町内でも一つ角を入って行くと評価金額が極端に安くなる事もあります。

又接している道路の状況によっても大きく評価が変わります。例えば極端に狭い道路は、道路からセットバックして建物を建てないといけないので、それだけで評価額は下がるのです。

銀行の担保調査

銀行は担保を取得する時事前に担保評価を行います。担保評価とは簡単に言って、その担保不動産の時価評価がいくらなのか評価するという事です。そしてその担保評価の方法ですが、一昔かそれ以前、バブルがはじけて数年位までは、多くの銀行が営業店で評価を行っていました。若しくは営業店から送付された資料を元に審査部門の人間が評価していました。つまり融資案件の審査に携わっている人間が担保不動産の評価を行っていたのです。

極端な話、融資案件の担当者が、ある程度の調査をして不動産評価の叩き台を作って融資の稟議書に添付するのです。そしてその不動産の評価額を支店で再評価して総合的に融資案件の審査していたのです。

具体的には、多くは担保物件付近の売買実例を参考にして担保物件そのものの時価額を調査していました。ですので担保評価をする為には多くの売買実例を出来る限り集めて地図に落とし込んで行くのです。そうすると大体その近辺の大まかな時価評価が分って来ます。あとはそれら売買実例と担保物件の土地の形状や、接している道路の状態等を勘案して担保物件の時価額を決定するのです。こういう方法で行う担保評価の方法を「取引事例比較法」等と呼び、当時はこの方法を多くが取り入れていたのです。

担保調査は営業部門と切り離した

経済が右肩上がりで、不動産も同じようにずっと値上がりして行くのであれば、この様な方法でも構わなかったのでしょうが、経済は低迷し、不動産は逆に一貫して下がり始めました。そしてその後担保不動産の売却や競売などで大量の不良債権を回収して行くのですが、実際の不動産の売却金額と当時の営業店での不動産の評価額との間に大きな乖離が発生したのです。どういう事かというとやはり営業店で行う担保評価には限界があったのです。融資案件に携わる人間が、特に融資案件の担当者が不動産評価を行うと決して意識しなくても、どうしても甘めの金額、高い金額で評価しがちなのです。又は融資案件を通す為に、人為的に金額を上げていったりするのは想像に難くありません。そもそも不動産の評価というのは専門的な知識を伴うので、営業店の行員では手が回らないのです。

今では多くの銀行が不動産評価は全く融資と関係の無い部門が行っていて、別会社が行っている所もあるようです。担保の評価実務を営業店の融資審査から切り離したのです。営業店や本部で融資案件の審査する人の元には、融資と全く関係の無い人間が調査した担保物件の調査資料が事前に届き、その不動産の調査金額にとやかく言う事は出来ないのです。そしてその金額を元にして担保として取るのか取らないのか、融資するのかしないのかを判断するような仕組みになったのです。

銀行の取得する担保は不良債権回収の最後の砦の様なもので、その金額の査定に失敗すれば、一歩間違えれば銀行経営の根幹を揺るがしかねないので、担保評価の調査部門はかなり重要な仕事をしていると言えます。