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銀行は不良債権比率を見て倒産前に債権回収を行う?

不良債権とは

個人ローン以外の融資つまり一般事業資金の融資は、幾つかの例外はありますが通常銀行独自の審査を行い、独自の資金を使って融資を行います。教育利ローンの様に遅れが嵩んできたので、保証会社に対して代位弁済請求をして債務を肩代わってもらう様な訳には行きません。ですので仮に無担保融資残高が1,000万円ある先が倒産して、その後1円も償還が無ければその1,000万円は、取りも直さず銀行の損失に直結します。

この事は一般の企業が商品を取引先に売り上げて、その販売代金が未回収のままその取引先が倒産してしまうというケースと考え方は同じです。ですのでその債権回収は時として熾烈を極める事があるのです。

不良債権比率という言葉を聞いた事があると思います。銀行の貸出しに占める不良債権の比率です。今はどの銀行も軒並み2%とか3%迄下がってそれなりに低い比率ですが一昔前までは10%台の銀行がザラでした。不良債権比率が10%というのはかなり高い比率で、バブルの傷跡が未だ残っていた時代の事です。現在では多くの銀行が収益を伸ばして多くの不良債権の償却を実施し今の低比率を実現したのです。この不良債権比率は銀行の健全性を図る上での重要な指標で、銀行の経営者はこの比率を抑える事にかなり神経を使っているのです。勿論低ければ低い程優れた銀行になるという判断をされるからです。

延滞債権を減らせ

この不良債権比率の計算の元となっている延滞債権の計算は全て月末現在で行われます。つまり幾ら月内に遅れている貸出し先が100件でその残高が100億円であっても、月末までに延滞額を全て回収してしまえば延滞債権は0件で0円になるのです。 延滞する企業の件数は、そのその銀行のその支店の融資姿勢に素直に現れてきます。融資残高を伸ばす事は今の銀行に課せられた社会的使命の様になっていますが、その融資残高を伸ばそうと躍起になって甘い審査で融資してしまう、等という事は良くありがちな事なのです。支店長専決判断の融資した先があまりにも多くの不良債権となり、他の営業店と比べて突出した延滞件数となると、その支店の支店長の融資権限の見直しにも繋がる事もあります。

今では考えられないでしょうか、不良債権比率が高かった時代の延滞回収業務は、支店の月末融資残高の何%もしくは何件以下にするという目標をもって行われていました。年度末前の深夜に、ある会社の社長の自宅に行き、会社の滞っている返済金10万円を回収に行った事もあります。渋る社長を何とか言いくるめて有無を言わせず回収しました。今では貸金業法に抵触する行為かもしれません。

返済が遅れているのに何故か会員を集めて、自宅でパーティを主催する訳の分らない会社経営者もいました。そのパーティ会場に乗り込んで行き、経営者を金庫のある部屋に連れて行き奪い去る様にして延滞金を回収した事もありました。今考えると良くそんな事が出来たなと思いますが、それ程強いプレッシャーを支店で掛けられていたのだという事だと思います。

こういう泥臭い仕事をしている時に、ときとして大型企業の倒産があってその企業に貸出ししている金融機関一覧の中に自分の銀行があるのを、新聞紙上とかで見る事があります。良く見ると担保を差し引いた、残りの回収不能見込み金額も一緒に発表されていたりします。一瞬にして何億もの金額を焦げ付かせてしまう様な都会の大きな支店の融資に、自分の泥臭い債権回収業務と照らし合わせて、時としてやるせなさを覚えたりした事もありました。

延滞の回数が嵩んで来て自力で返済できなくなったと判断されたら、通常は本部が一括して管理する部署での扱いになります。今後担保物件の売却等法的な話になって行くからです。本部取扱となった融資先は営業店では殆ど関わりがなくなり、実際にもうそれっきりで二度とその経営者と会う様な事も無くなるのです。