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個人融資を得意とする消費者金融の信用保証業務

<消費者金融の保証業務>

消費者金融A社は個人向け融資を本業としていますが、それとは別に銀行対して融資の保証業務を行っています。いわゆる信用保証業務と呼ばれるものです。A社のHPによればA社の本業のローン事業における営業収益を、過去5年間遡って見ると2011年は1,840億円程あった収益はその後減り続け、2015年現在では1,280億円に迄減少しています。対照的に信用保証業務は2011年には220億円の収益しかなかったのですが、その後はうなぎ登りで2015年には410億円の営業収益を計上しています。

このA社の15年の営業収益が全体で2,190億円ですので、今や信用保証業務のその収益力の高さは、かなり大きなものとなってると言わざるを得ません。因みに保証残高ベースでは2015年には実に8,612億円を記録しています。

<信用保証業務とは>

例えばB銀行のカードローンの商品で、このA社が保証会社になっているとします。カードローンの保証会社になるという事は、このカードローンを利用する借主をA社がB銀行に対して保証するという事です。保証するという事は、借主がきちんと最後までB銀行に対して借金を返済するという事を、A社がB銀行に対して保証するという事です。B銀行はこのA社の保証に基づいて融資を実行する事になります。

例えばCという人がB銀行にカードローンの申し込みに行ったとすると、B銀行はA社に保証依頼を行います。保証依頼を受けたA社は申し込み人Cの信用調査を行い、結果をB銀行に対して通知を行い、承諾であればB銀行に対してCへの融資を保証します。B銀行はこのA社の保証を拠り所にして、Cへの融資を実行するのです。勿論保証料は発生しますがその保証料は銀行BがA社へ支払います。このB銀行からCへの融資が何事もなく完済されれば、A社は保証料がそのまま利益となりますが、万が一途中でCが返済が不可能になった時、例えば延滞が2回とか3回になった時にA社は保証の履行として、そのCの借入残高をB銀行に支払う事になります。

<信用保証業務のメリットデメリット>

消費者金融Aがこの様な信用保証業務を行う利点は幾つかあります。その一つは融資を行う為の資金、つまりお金を使う必要がない事です。消費者金融は銀行と違って預金等で資金を調達する事が出来ませんので、融資を行う資金、お金は銀行融資に頼らざるを得ません。勿論借り入れた資金には借入利息が発生します。ですが信用保証業務だと融資金を伴わず、資金を使う事がないので、お金を借りる必要がなくなるという訳です。

次に保証業務は実際に融資の受付を行う訳ではなく、審査業務だけに専念出来るので、余計な人員や店舗、設備が必要ない、という事があげられます。要するに効率的な業務運営が可能だという事です。

他には消費者金融の本業の融資であれば総量規制により融資上限がありますので、どうしても融資額が会社全体として伸びて行きません。先程説明したように融資量は頭打ちになってしまうのです。しかし、銀行融資は総量規制の対象外です。ですのでA社はこの銀行への保証業務を行う事により、総量規制の為に融資する事が出来なかった顧客層への収益の拡大を実現していると言えます。更に言えば従来は消費者金融にあまり縁の無かった銀行の顧客層の取り込み等があげられます。

実際の消費者金融の本業である融資業務は、受け取る利息はそのまま消費者金融業者の儲けになりますが、実際に融資を伴わない信用保証業務の場合は、収益は先程の銀行から受け取る保証料分しか収益となりません。保証料率は定かではありません。保証する銀行によって違うでしょうし、金額によって違う事が推測されます。このA社の15年末の保証残高が約8,600億円に対し、同年の保証業務の営業収益が410億円という所から計算しても数%の保証料率であると推察されます。

銀行サイドでは、受け取り利息から保証料を支払った残りが銀行収益となり、融資リスクは貸主ではなく保証会社Aに依存します。この消費者金融A社がきちんと保証してくれる限り、この融資はリスクは限りなく0に近くなるのです。因みにこの消費者金融Aは大手銀行グループの一員でもあり、その事は銀行に対して保証業務を行うに当たって絶大な信用力を発揮していると言えます。

銀行は殆どが自行の関連会社の保証会社を利用してきました。例えばD銀行であればD信用保証、E銀行であればE銀行保証等です。しかし消費者金融が銀行へ行う保証業務は、こうした従来の銀行グループ内の保証会社と違い、これまでに培った審査や回収のノウハウが利用されます。審査業務は銀行の本業ですが、個人の小口融資の審査は、消費者金融の方が上とされる説もあります。実際に個人の小口融資は、融資実行~回収迄のメンテナンスと呼ばれるものに、非常に手間のかかる繊細な労力が求められるのです。この辺が銀行が消費者金融A社を保証会社として利用する主な理由の一つかも知れません。