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キャッシングと金融ADR事例~金融ADRとは

金融ADR制度とは

近年銀行の預金や生命保険、株式、投資信託等金融サービスの多様化、複雑化により利用者と金融機関との間で商品性やサービスにおいて、トラブルが多発しています。金融機関の利用者は、金融機関に比べてどうしても情報量や専門的な知識等において弱い立場に置かれます。ですので今迄多くのトラブルが発生しても、利用者としてはどうする事も出来ずに泣き寝入りしたり、そうでなければ裁判所に訴える出るしか方法がありませんでした。 裁判所に訴えて争うとなれば莫大な時間や費用がかかります。勝てる見込みがあるのかどうかも分りません。

そこで金融商品の利用者保護や利便性を考えて、金融トラブルの解決を図る為「金融ADR制度」が国の制度として創設されていた様ですが、どうしても判断がその業界よりになってしまう傾向にある、等の批判がありました。今回平成21年の「金融商品取引法等を一部改正する法律」により、「中立・公正」がこの制度の柱となりました。

例えば今では何も珍しくはない銀行の投資信託等の窓口販売ですが、周知の通り投資信託は投資した元本が変動します。つまり儲かる事もありますが当然損失を被る事もあります。この儲かるかもしれないし、損をするかもしれないという事を十分理解して、商品を購入すれば良いのでしょうが、「中には銀行が販売するので損などするはずがない」と考えてそういった元本保証でない金融商品を購入した人が多くいたようです。

銀行の窓口の職員もその購入者がきちんとその商品性を理解したかどうか、チェックするような機能も当時はありませんでした。そしていざ購入した商品が大きく値下がりすると多くのトラブルが発生しました。銀行は簡単にその損失を補てんするような事はしません。多くの利用者が納得いかない思いをしたのです。勿論全て販売する金融機関の責任ばかりではありませんが、そういう事例は確かに全国的に多かったのです。

「金融ADR制度」は主に業界の自主規制団体が仲介者として、金融機関とその利用者のこうしたトラブルの解決を図る為の制度です。この「金融ADR制度」を利用するメリットは幾つかあります。

その一つは先程の「中立・公正」です。実際に仲介の業務に当たるのは、その「金融ADR」に所属する、業界に見識のある弁護士や司法書士です。弁護士や司法が公正な和解案を提出してトラブルの解決に努めます。その次は「迅速」性です。「金融ADR」の紛争解決迄の標準処理時間は2ヶ月~6ヶ月です。この時間は裁判を行うよりずっと早いものです。最後は「低コスト」です。各「金融ADR」により利用手数料が定められていますが、かなりの低コストです。

困ったときは金融ADR制度を利用出来る

この様に「金融ADR制度」とは、金融機関の利用者の保護と利便性を図る目的で作られた制度です。多くの金融機関で多くの金融商品が販売されていますが、実際に行うのはやはり人間です。その金融機関でその商品の取り扱いにおける規定が多く定められている筈ですが、やはりどうしても間違ってしまう事もあります。

金融機関のミスで利用者が被害を被ったのであればその被害は金融機関が賠償する義務があります。そのミスが金融機関のミスなのかどうか判定してくれるのが「金融ADR」という機関です。金融機関を利用していると「どう考えてもおかしい」という事があります。そして担当者の話を聞いても納得いかなければこの「金融ADR」を利用する事になるのです。

「金融ADR制度」を通して行う申し立てについては、金融機関側は原則その申し立てに応じなければなりません。そしてこのADRが出した和解案については金融機関は原則受け入れなければならないとされているのです。これがこの「金融ADR制度」本質です。最終的に結論として出した和解案が、ADRの機関つまり業界の自主規制団体からの和解案ですので、その会員である金融機関は従わざるを得ないという事です。消費者金融の場合業界の自主規制団体に加盟していない金融業者も存在しますが、その様な業者に対してでも受け付けてくれるようです。

金融ADR団体は各金融団体にそれぞれ存在していて、それぞれ政府から指定を受けています。消費者金融の事であれば「日本貸金業協会」、預金等の銀行業務であれば「全国銀行協会」損害保険等であれば「日本損害保険協会」です。

日本貸金業協会と金融ADR

「日本貸金業協会」という組織があります。主な業務内容は「貸金業法の規定や~自主規制の基本原則を定め、協会会員の指導を徹底」する、とあります。要するに消費者金融業者の自主規制団体と呼ばれる組織です。似たような組織に銀行の「全国銀行協会」や保険の「全国保険協会」の様なものです。

この団体の中に「貸金業相談・紛争解決センター」というものがあります。貸金業務に関連する借入や返済の相談、貸金業者の業務に対する苦情や紛争解決窓口として、日本貸金業協会が運営しているものです。今回はこの、日本貸金業協会が運営する紛争解決手続(ADR)について考えてみたいと思います。

この紛争解決手続きは「金融ADR制度」と呼ばれ、金融機関との取引において何かトラブルが発生した時、「金融ADR制度」を利用して和解を目指す、というものです。一般的に裁判に持ち込むには費用も時間も係る事から、一般の人は裁判での係争にはちゅうちょしてしまいます。しかしこの「金融ADR制度」を利用すれば、早く低コストでトラブル処理をしてくれるという事なのです。

貸金業者の団体である「日本貸金業協会」が行う制度であれば、和解と言ってもどうしても業界寄りの判断を下されそうである、と感じてしまいがちですが実際には弁護士や司法書士が公平な立場で和解案を提出する事となっていますので、どうしても解決出来ないトラブルが発生した時等は、利用するに越した事はなさそうです。

ADR事例

普通消費者金融との間で何かトラブルがあった時は、どうしてもお金を借りるという立場から、こちらの言い分をなかなか主張出来ない事が多くあります。問題なのはその事を金融業者もよく理解していてその自らの立場を利用する、という様な時です。借主はどうしても今後の取引の事を考えてしまいがちなのです。しかしこの「金融ADR」を利用すると、「公平」な立場でトラブルを処理し、そしてこの「金融ADR」が出した結論にその相手方である金融業者も原則従わなければならない、という事です。 幾つかの事例がありますので紹介したいと思います。

事例【1】 カードの盗難

■Aさんは車上荒らしにあいカードを盗難され、直ぐに不正利用され複数のカード会社から請求を受けた。殆どのカード会社は盗難に関する保険金をAさんに支払ったが、B社だけがAさんに過失があるとして、キャッシングの不正利用分全額請求された。Aさんは協会に苦情処理を申し立てB社との和解を希望した。その後協会がB社に確認した所最初は和解に応じなかったが、話し合いを数回重ねた結果請求額の1/2を負担するという事で和解が成立した。

事例【2】 過払金の請求

■Cさんは過去取引のあった貸金業者Dに対し、取引履歴に基づいた取引を利息制限法により引き直した、計算後の過払い金の金額の支払いを請求しましたが、貸金業者Dと折り合わず当事者間での解決が困難となりました。そこでCさんは協会に対し申し立てを行った結果、紛争解決委員が過払い金返還額についての和解案を提示して受諾勧告をした結果、当事者双方が納得いく形で承諾し解決しました。

事例【3】 取り立て行為

■Eさんは金融業者Fへの支払いが滞っていましたが、その金融業者Fからの取り立ての電話の口調がきつく、更に保証人へ電話されるので困っている、との訴えで協会に申し立てを行いました。 協会が金融業者Fに確認した所「延滞督促の電話録音を調べた結果特に激しい口調とは思われないが、今後の架電はより丁寧にするように心掛ける。」との回答を得ました。又協会は金融業者Fに対し保証人への連絡は、今後借主本人Eさんとの連絡がつかない場合にのみ連絡するように要請すると、金融業者Fは了承しました。

以上日本貸金業協会のHPより紹介致しました(http://www.j-fsa.or.jp/index.php)。お金の事での揉め事は誰でも厭なものでで出来れば避けて通りたいものです。しかしいざトラブルになった時はその内容を受付けてくれる窓口があるという事を理解しておく事も大切な事だと思います。