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その会社は安全ですか?決算書の「自己資本比率」から読み解く

会社の健全性を考える

ある会社を見て健全な会社なのか、そうでないのかという事を見分ける方法を考えてみます。今にも倒産するかもしれないという様な会社は別として、財務上その会社が良いのか悪いのかを判断するのは、同業他社の会社を比べて見るのが一番手っとり早いとされています。ある企業の健全性を判断したいのであれば、その会社と同一の業種の他者、つまりライバル会社の売上、利益、資産の内容等色々な項目を比較するのです。

よく「あの会社は売り上げが○○億円の大企業」とか「その会社は総資産○○億円あるから大丈夫」とか言われたりします。「あの人は個人事業主で売り上げが10億円ある」とか言ったりする事も良く聞きます。しかしそういう言い方や表現の仕方は、財務上のある一面しか捉えていない事が多いのです。その人の個人的収入が例え10億円あっても赤字であったりする事も十分考えられる事ですし、借入金が10億円ある事もあるのです。

会社の解散価値

会社の健全性を判断する事を書いた本は世の中には沢山出版されていて、専門書のようなものから、すごく分り易いものまで色々です。ここでは簡単な決算書をみながら少しだけ会社の健全性を見てみます。

会社A単位円
預金 1,000,000 負債 28,000,000
建物 5,000,000 純資産 11,000,000
土地 20,000,000 (内資本金) (10,000,000)
その他資産 13,000,000
総資産 39,000,000 総資産 39,000,000

会社Aの貸借対象表です(全て時価と仮定します)。貸借対照表は決算書の一部ですがこの貸借対照表からみて分る事を幾つか説明します。 この会社の土地、建物等全ての資産を売却して、負債を返済して廃業すると手許には1,100万円の現金が残る、という事です。この金額は純資産に示されていて、この金額の事を別の表現をすると「解散価値」といいます。

次に当所出資した資本金1,000万円が今の段階で1,100万円の価値になっている事です。この会社の設立時に10万円の資本参加をしていれば、この会社の解散時には11万円の配当金が手に入る事になるのです。

貸借対照表は左側が資産勘定になっており、右側が純資産+負債勘定になっていていつもバランスしています。次に示すのは会社Bの貸借対照表です。

会社B単位円
預金 1,000,000 負債 40,000,000
建物 5,000,000 純資産 -1,000,000
土地 20,000,000 (内資本金) (10,000,000)
その他資産 13,000,000
総資産 39,000,000 総資産 39,000,000

この会社の左側の資産勘定は会社Aと全く変わりありませんが、右側の負債と純資産の金額が違っています。結論からいうとこの会社の解散価値は100万円のマイナスです。つまり保有資産を全て売却したとしても手許には負債しか残らないのです。言い方を変えると会社の資産より負債の方が多いのです。当所1,000万円の資本金を出資しているにも拘わらずです。この会社の解散価値はマイナスで、こう言う会社の事を債務超過と呼びます。AとB、どちらの会社が優れているのかは明らかです。

自己資本比率

会社C単位円
預金 20,000,000 負債 50,000,000
建物 5,000,000 純資産 45,000,000
土地 30,000,000 (内資本金) (10,000,000)
その他資産 40,000,000
総資産 95,000,000 総資産 95,000,000
会社D単位円
預金 20,000,000 負債 70,000,000
建物 5,000,000 純資産 25,000,000
土地 50,000,000 (内資本金) (10,000,000)
その他資産 20,000,000
総資産 95,000,000 総資産 95,000,000

次に会社CとDについて先程の観点から両社の貸借対象証を比較してみます。会社の解散価値をその総資産に占める割合の率に引き直すとC社が47%でD社が26%です。この率の事を「自己資本比率」と呼び会社の安全性を図る上で重要な指標になります。貸借対照表を見れば分りますが安全性が高く、自己資本比率が高いという事は、取りも直さず負債が少ないという事です。極端な話し負債が0円の会社は少なくとも資金繰りが原因で倒産する事はありません。「自己資本比率」の観点から両者を比較するとC社の方が優れている事になるのです。

先程のA社とB社の比較において前提として数字は全て時価としましたが、今回は両社の安全性を調査する為、貸借対照表上の左側の資産勘定を全て精査してみました。 するとD社は問題無かったのですがC社において「その他資産」勘定4,000万円のうち3,000万円が不良債権となっていて回収不能である事が判明しました。その結果Cの総資産は6,500万円になり、右側の勘定のうち負債は変わらないので純資産勘定が1,500万円となったのです。その結果C社の自己資本比率は23%に減少するのです。

幾ら資産が多くあっても、その資産を取得する為の資金調達が借入金ばかりであったり、取得した資産のその中身が不良債権ばかりになっていた、というケースを簡単に紹介しました。要はいくら資産が大きいからと言っても、資産の中身がいかに重要かという事なのです。